おかげさまで今年で6年目を迎えます。
二弦から、会場は毎年、目白のGallery 鶉。
「演奏中にも外の風と空気を感じられ、明るい光の差し込む大きな窓のある、お客様との距離が近い会場で」という、ひとり琴のコンセプトにぴったりの、とても素敵な空間です♪
・・・今年の公演 六弦のテーマは「二十四の虹彩」・・・
鍵盤楽器は、1オクターヴの音の幅を12分割した固定の音程でしか弾くことができない、という大きな制約がありますが、その限られた場所から編み出された無限の音世界、12音それぞれを主役に据えて作曲されたJ.S.バッハの『平均律クラヴィーア曲集』、そしてこの曲集に影響を受けた後世の作曲家の一人、今年没後30年を迎えた芥川也寸志の『24の前奏曲』を取り上げます。
◆ バッハの曲集は、鍵盤の並びに沿ってハ長調を起点に、ハ短調、変ニ長調、変ニ短調、ニ長調…ロ短調と進む曲順になっています。
1オクターヴの鍵盤12個×2(長調・短調)=24曲、それが2巻(計48曲)あるので、私の好みで今回限りの24曲を選びまとめました。(本来は前奏曲&フーガで1セット/曲ですが、今回は全て前奏曲のみの演奏です。)
原題のDas Wohltemperirte Clavierを平均律と訳したために、現代ピアノ用の音律である平均律と混同されてしまう問題がある一方で、バッハの手稿譜に書かれた謎の図形がこの曲を奏するための音律を表しているという考察が、いまや主流になりました。
コンサートでは、この研究に基づいたBach/Lehmanの音律を使ってみようか、別のを使ってみようか、いろいろと調律をいじりながら思案中…。
◆ 芥川の曲集がバッハのものと大きく違う点は、曲順です。
「大バッハにならってハ長調から出発し、同名調をともないながら5度ずつ上り、24曲で5度圏をひとめぐりする」(曲集の前文より)。
(※ 同名調=同主調とは、同じ主音を持つ長調と短調のこと。ex. ハ長調 - ハ短調)
ハ長調から始まり、バッハとは地球の反対側ほど違う道筋で1オクターヴをぐるっと巡っていくのですが、今回はバッハの旅の同行者として、鍵盤の並びに沿った曲順に入れ替えて演奏します。
ピアノ用に書かれた曲集ですが、チェンバロで弾くと、ロマンティックな美しいメロディーや遊び心溢れるリズム感がより際立つ感触があり、時代を超えてバッハと芥川が同じ調性に同じ感覚を抱いているシンクロ感もあったりと、とても興味深く2人の旅路を辿ることができるはずです。
ー 山縣万里 チェンバロソロコンサート《ひとり琴 六弦 〜 二十四の虹彩》ー
◇ 2019年11月4日(月・祝)13:00開演 & 16:00開演
(2回公演/同プログラム/各30分前開場)
◇ 全席自由3,000円/学生2,000円
Gallery鶉(じゅん) JR目白駅・副都心線雑司ヶ谷駅より徒歩6分
◇ お問い合わせ・お申し込み:勾玉音℃ magatamary@gmail.com
バッハの24色と芥川の24色が、時と所を超えて隣りあい、混じりあい、美しい虹彩となって白いキャンバスを彩る様を、是非ご一緒に体験していただけますように🎶