2019年5月22日水曜日

満月の朝に


19日、オーボエ奏者の小林裕さんが、本当に、とつぜん、旅立ってしまわれました。
お知らせをいただいて、とても信じることができず、「きっと何かの冗談だろう。裕さんのことだもの、明日になったら何事もなかったかのように出てきてくれるんじゃないかな」と、目をそらすように、願っていました。
でも、叶いませんでした。

呆然と、受け入れることができないまま時間が経ち、今になってやっと、ああ本当に行ってしまったんだ…と、少しずつ心に染み込んできました。
気持ちを落ち着かせるために文章にしようと、書き始めてみましたが、涙がぼろぼろ溢れて止まりません。

10年前、まだ学生だった若輩者の私はアンサンブル・エスプレッソにご縁あって加わらせていただき、それからずっとバンマス裕さんのもとで毎年楽しく演奏してきました。
裕さんの素晴らしい音楽と技術、物静かな表情と語り口、熱い想いとユーモア、一番下っ端の私をいつもたくさん気遣ってくださった、思いやりと優しさ。
最初から一人前のチェンバリストとして私を扱ってくださったこと、他の現場でもたびたびご一緒できて嬉しかったこと、勤務先の音大での大切なお仕事に呼んでくださったこと、思い出があふれます。

裕さんのエスプレッソ版プロフィール、読み返して、笑顔になります。
誰にも別れを告げることができず、裕さんが一番、悲しいことだろうと思います。

大好きな裕さん、どうか安らかに。
心から、ありがとうございました。